西尾家住宅(旧西尾類蔵邸)は、外から見ると洋館ですが、館内には書院造りの大広間があるかと思えば、片や、本格的な西洋の間があったりと、実に自由で伸びやかな設計に。当時、それぞれの居室を何の目的で使用したいのか、主が明確なコンセプトをもって設計を依頼したと思われます。
- 花菱の透かしの桟が障子の上を飾る、幅二間の付書院。上客を迎える二間床らしく、深さと広さをもった造りになっています/2階「鳳凰の間」
- 内側から見ると縁側、外から眺めるとバルコニーという、趣向を凝らした縁側見立てのバルコニー/2階「鳳凰の間」
- 「ル・アン」から階段を5段ほど下りたところにも居室が。当時の西洋建築の特徴ですが、ここまで本格的なのは日本の洋館にはあまり見られません/1階レストラン「VIP ルーム」
- 杉の網代天井に、桐に鳳凰の透かし彫りの欄間。ここが最も格式高い、賓客をもてなすための書院造りの大広間であることを表しています/2階「鳳凰の間」
- 2階と1階を結ぶ階段には深紅のカーペットが。手すりに施された彫刻が優美な影を落としています
- 大きなアーチ窓から自然光がたっぷり届く空間。書院造りの「鳳凰の間」と区別して、親しい方々と過ごすパーティに用いられたのかもしれません/1階レストラン「ル・アン」
- 市松の寄せ木の床板も趣き深く。また、四辺の壁側はランダムな寄せ木になっているため、市松寄せの部分が大きなセンターラグのようなデザインに/1階レストラン「VIP ルーム」