西尾家住宅(旧西尾類蔵邸)は1919年(大正8年)、当時貿易商として神戸を中心に活躍していた西尾類蔵氏の邸宅として、須磨に建てられました。須磨という土地が選ばれた理由には、武庫離宮(現・須磨離宮公園)の造営や、鉄道の開通、それらに伴う西須磨への別荘建築ブームが背景にあったと考えられます。
しかし、太平洋戦争以降は別荘が増築されることもなく、戦火を逃れた邸宅も阪神淡路大震災によって倒壊・解体を余儀なくされ、現在残っている邸宅はわずか数軒のみ。その中において西尾家住宅(旧西尾類蔵邸)は、竣工当時の状態が現存する貴重な建造物として2010年(平成22年)、兵庫県指定重要有形文化財に指定されました。
西尾家住宅(旧西尾類蔵邸)の設計者は、建築家・設楽貞雄氏。パリのエッフェル塔を模した初代通天閣の設計や、作家・山崎豊子氏の代表作『華麗なる一族』で、そのモデルと伝わる旧岡崎財閥邸を手がけたことでも広く知られています。
- 鷹取工場建物
- (神戸市、1900 年頃、現存しない)
- 牛場卓蔵邸
- (神戸・塩屋、1907 年、現存しない)
- 村野山人邸
- (神戸・東須磨、1908 年、現存しない)
- 日本毛織本社
- (神戸市、1908 年、現存しない)
- 日本毛織加古川工場
- (兵庫県加古川市、1908 年)
- 大日本セルロイド網干工場
- (兵庫県姫路市、1908 年)
- 大阪堂島米穀取引所
- (大阪市、1910 年、現存しない)
- 京都電灯本社屋
- (京都市、1912 年、現存しない)
- 神戸電灯本社屋
- (神戸・新開地、1912 年、現存しない)
- 通天閣
- (大阪市・新世界、1912 年、現存しない)
- 聚楽館
- (神戸・新開地、1913 年、現存しない)
- 千日土地楽天地
- (大阪市、1914 年、現存しない)
- 有澤眼科病院
- (大阪市、1914 年、現存しない)
- 兵庫県農工銀行本店
- (神戸市・栄町通、1916 年、現存しない)
- 内田汽船本社
- (神戸市・旧居留地、1917 年、現存しない)
- 旧岡崎家住宅
- (神戸・須磨、1920 年、現存しない)
- 旧日本商業銀行楠町支店
- (神戸市、1923 年、2008 年 5 月解体)
- 江商ビルディング
- (大阪市、1926 年、現存しない)
- 長瀬商店
- (大阪市、1928 年)
西暦 | 年号 | 事柄 |
---|---|---|
1919年 | 大正8年 | 貿易商・西尾類蔵氏の邸宅として竣工 |
1945年 | 昭和20年 | 終戦後GHQに接収される |
1999年 | 平成11年 | 神戸市指定有形文化財に指定 |
2005年 | 平成17年 | 改装・増強工事 |
2006年 | 平成18年 | 神戸市名勝庭園に指定(池泉回遊式庭園) |
2007年 | 平成19年 | 結婚式場・レストランとして活用開始 |
2010年 | 平成22年 | 兵庫県指定重要有形文化財に指定(主屋ほか5棟) |
2013年 | 平成25年 | 茶室「真珠亭」を保存修理 |